10月17.18日、大分県日田市(旧上津江村)にあるオートポリスでシリーズ第8戦が開催された。
オートポリスでは99年にスペシャルステージ(オールスター戦)としてGTレースが初開催され、03年からはシーズン終盤、タイトル争いを左右する大一番として親しまれてきた。だが先頃、来年度には、ここオートポリスでは未開催となることが発表された。だから今回は、暫しのお別れとなるGTレースでもあり、週末を通じて4万人を超えるファンが詰めかけバトルを堪能していた。
EPSON NAKAJIMA RACINGとオートポリスの相性は悪くない。昨年も2位表彰台をゲットしているが、実は99年のオールスター戦では、我がチームが記念すべき最初のウィナーに輝いている。今シーズン、ここまで苦戦を余儀なくされてきた我がチームだが、前回の富士では上昇気流を掴みかけた感があり、その流れをより確実なものとするためにも、前回以上の好結果が求められるところ。エースのロイック・デュバルとルーキーの中山友貴はもちろん、チームスタッフが全員、意気を高めての九州入りとなった。
週末の空模様は、直前の天気予報では公式予選が行われる土曜日の午後に雨、とも報じられていたが、それに反して週末は、昨年同様ドライコンディションに終始した。だが気温と路面温度は、想定を大きく外れるほど低く、予選が行われた土曜日も、レースデーとなった日曜日も肌寒い一日となった。ともかく、用意されたタイヤにマシンを合わせ込むように、セットアップを探っていくことになったが、今シーズンのように金曜日の走行がなく、土曜の午前に公式練習を1セッション走ったのみでもう公式予選、というスケジュールでは、大きなセット変更はギャンブルとなってしまう。結果的に公式練習での自己ベストを更新したものの、公式予選では最下位に低迷。チームでは決勝に向けてミーティングを続け秘策を練ることになった。
日曜日は朝から晴れ間が拡がる秋晴れとなり、前日に比べると幾分かは、気温/路面温度も上昇した。これまではロイックがスタートを担当することが多かったが、今回は
中山がスタートを担当。レース距離の3分の1を走ったところでロイックに交替し、残り3分の2をロイックが2スティントに分けて走る作戦となった。今回のような300kmレースでは1ピット/2スティントが正攻法で、いわゆる2ピット/3スティント作戦は“奇策”。1回ピットインが多くなるために、ミスの入り込む危険性も2倍になるが、ピットワークには定評のある我がチームだけに、ぜひともレース結果には“吉”と出て欲しいところだった。
最後尾からスタートした中山は、テールエンドにつけていたからシグナルが見えづらく、僅かにダッシュが遅れたものの、前方のマシンに離されることもなくスタートを切ることには成功した。スタートが切られた直後に直前の2台が絡むアクシデントが発生したものの、中山は難なくこれを避け、労せずして2ポジションアップした。
オープニングラップから快調なペースで周回していた中山だが、5〜6周を過ぎた辺りから大きくペースダウン。どうやらマシンバランスが悪化したようで、前方のマシンにじわじわ引き離されてしまう。それでも粘り強く、マシンと格闘し続けた中山は、ほぼ当初の予定通り、22周を消化したところでピットに向かった。
続くスティントはロイックが担当する。ガソリン補給とタイヤ交換を済ませたロイックは、12番手とひとつポジションを落としただけでレースに復帰する。このスティントでは、ロイックもいつもの速さを発揮出来ず、中山のマークしたベストタイムは僅かに更新したものの1分47秒を切るのがやっと。それでも20周を走ってロイックはピットに向かい、2度目のガソリン補給とタイヤ交換を行った。
2スティントで、上位陣の脱落もあって10番手までポジションアップしていたロイックは、3スティントも10位で始めることになった。3スティントではマシンバランスが戻り、5周後、通算では46周目に1分45秒772のベストタイムをマークする。そしてロイックは、最後まで好調なペースをキープ。最終的には前回と同様、9位でチェッカーを受けて2戦連続入賞を飾ることになった。
この9位入賞という結果もさることながら、ロイックが終盤にマークしたベストタイムは、NSX勢ではトップとほぼ互角の好タイム。マシンやタイヤを開発する上での、方向性に間違いがなかったことが証明された格好で、これも今回の収穫のひとつとなった。シリーズも残るはもてぎでの最終戦(11月8日決勝)のみ。上位入賞で有終の美を期待したい。
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