中嶋企画レースリポート00FN-3
   

シリーズ名:2000年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN)
大会名:第3戦・美祢サーキット
距離: 3.331km×62周(スタートディレイ→再スタートにより61周に短縮)
予選:5月20日 晴れ 
・観衆:1万2800人(主催者発表)
決勝:5月21日 晴れ ・観衆:4万0500人(  同  )
ルーキーの松田次生、嬉しい初優勝!!!
ポールから独走していた高木は、惜しくもトラブルに泣く
 国内最高峰のフォーミュラレースとして知られる2000年全日本フォーミュラ・ニッポン(FN)選手権のシリーズ第3戦が、5月20〜21日、晴天に恵まれた美祢サーキットで開催された。
今回の第3戦に向けて公式走行会(事前合同テスト)は実施されなかったが、我がPIAA NAKAJIMA RACINGは開幕前にプライベートテストを行なっており、高木選手も、また今年初めてFNにフル参戦することになったルーキーの松田選手も、走りこみは充分。
開幕2連勝の勢いを持続させながら目標とする1−2フィニッシュの実現に向け、2人のドライバーもチームスタッフも、勇躍のサーキット入りとなった。
FNのレーススケジュールは、土曜日朝一番の公式練習から走行を開始する。
この公式練習で手応えをつかんだ2人のドライバーは、午後1時から始まる第1回目の公式予選に臨んだ。45分間のセッションで勝負どころはラスト10分。
セッションの序盤でセッティングの最終確認を済ませた高木選手は、作戦どおりセッション終盤に入ったところでタイムアタック。
1分14秒801のベストタイムをマークして、暫定ポールを奪うことに成功した。
一方の松田選手は、思うようにタイムが伸びず、高木選手からコンマ6秒遅れの7番手。今年からFNにフル参戦を始めたルーキーとしては十分評価できる内容だが、すでに前回のもてぎで3位 表彰台をゲットし、今やトップコンテンダーの一人として認められるようになっただけに、周囲の要求も高まってきており、松田選手には、2回目のセッションでは、更なるタイムアップが期待されることになった。
その2回目のセッション。
当初はタイヤを温存してライバルの走りを静観する作戦だった高木選手は、セッション中盤でコースイン。15秒を切る好タイムをマークするドライバーも現れる中、1回目のセッションでマークした自己のタイムをさらに短縮して1分14秒711まで詰め、ポールポジションを揺るぎないものにした。松田選手も、狙っていた14秒台には一歩及ばなかったものの、このセッションで3番手となる1分15秒209まで詰め、2回のセッションを総合した予選結果 でも4番手に進出していた。
明けて日曜日も快晴。気温も上昇して、午後にスタートする決勝では、美祢らしいハードな戦いが予想された。朝一番のウォームアップ、サポートレース、そして大盛況のピットウォーク、とタイムスケジュールは滞りなく進み、いよいよメインレース、FNの決勝スタートとなる。
この熱さが災いしたのか、フォーメイションラップのスタートでもエンジンストールさせるドライバーが続出し、スタートが1回だけディレイの扱いとなる。そして周回数が61周へと1周減算され、仕切り直しのスタートが切られた。ポールポジションからスタートした高木選手は、一瞬出遅れてセカンドポジションからスタートした野田英樹選手に先行を許したが、1コーナーを立ち上がった先で高木選手が猛プッシュ、2コーナーでは思い切り良くインを刺し、トップを奪い返すことに成功する。その後方では姿勢を乱すマシンもあって、大混雑の様相を見せ見せた下位 グループでは多重クラッシュも発生したが、トップで2コーナーを立ち上がった高木選手はもちろんのこと、M.クルム選手に先を越された松田選手も、難なく3位 で2コーナーを通過していった。オープニングラップを終えた時点でのオーダーは、高木選手を先頭に、クルム選手、松田選手、R.ファーマン選手、服部尚貴選手、金石勝智選手がトップ6を形成していた。
中でも高木選手のペースは速く、1分17秒台を連発、2位のクルム選手以下を着実に引き離していき、序盤戦が終った10周終了時点で早くも高木選手のリードは3秒以上にまで拡がっていた。
一方の松田選手も、クルム選手に引き離されまいと、懸命のドライビングを続けていた。
そんな息詰まる攻防戦に変化が訪れたのは、やはりタイヤ交換の時であった。トップグループの中ではクルム選手が真っ先にタイヤ交換を行い、続いて松田選手、金石選手、そして27周を終了した時点で高木選手と服部選手がタイヤ交換を行なった。
この一連のタイヤ交換を終えた30周終了時点でのオーダーは、トップの高木選手は変わっていなかったが、松田選手がクルム選手をかわして2位 に進出していた。高木選手のタイヤ交換は僅か6.5秒で済ませたチームスタッフは、松田選手のタイヤ交換はさらに素早く、何と5.9秒で済ませていたのだ。 これで高木選手と松田選手、我がPIAA NAKAJIMA RACINGの2人のドライバーによる1−2体制が出来上がった。この時点でも高木選手と松田選手のペースは他のドライバーを上回っていたので、念願だった1−2フィニッシュに向け、2人のドライバーは残り周回を着実に消化していった。
ところが。44周目を走っていた高木選手のマシンから、青白い煙が見え始めた。
始めは僅かずつだったが、すぐに酷くなり、45周目のストレートエンドでは明らかにトラブルが発生したことを示していた。煙が出ていることを確認した高木選手は、次の周にはピットに戻ったが、オーバーヒートに起因するエンジントラブルでは如何ともしがたく、ピットインし、無念のリタイアとなった。
高木選手に代わってトップに立った松田選手だが、プレッシャーに臆することもなく17秒台の速いタイムをコンスタントにマーク。
後方から追走してきたクルム選手を反対に突き放す勢いを見せ、嬉しい初優勝のチェッカーを受けた。
 高木選手のトラブルは残念だったが、それを完璧にカバーした松田選手の初優勝。
開幕戦から2連勝を飾ってきた我がPIAA NAKAJIMA RACINGは、この第3戦ではまた違った意味での高いポテンシャルを発揮することが出来た。
■ PIAA NAKAJIMA RACING総監督中嶋悟のコメント 「高木選手のリタイヤは非常に残念でしたが、松田選手の活躍は非常に大きな収穫でした。レース内容もすばらしいものでした。チームとしては開幕3連勝です。この勢いを次戦の富士にも持ち込みたいと思います。」
※次戦は、6月3日〜4日、静岡県富士スピードウェイで開催されます。

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