トップ > エンターテイメント > 伝説の一戦 > Vol.6 2007年 全日本選手権フォーミュラ・ニッポン 第7戦 スポーツランドSUGO

Legendary Races 伝説の一戦



カテゴリー:全日本選手権
フォーミュラ・ニッポン
サーキット:スポーツランドSUGO
決勝日:2007年9月16日
トラック:ドライ
予選:ポールポジション/決勝:1位

負傷の中で見せた脅威の走りでPP獲得!

この年の夏は記録的な猛暑が続き、9月に入っても残暑が猛威を奮う日が続いていた。宮城県に位置するスポーツランドSUGOもホット&ドライなコンディションでドライバー、スタッフともに気力も体力も消耗させる暑い熱いレースが待っていた。

走り始めの金曜日からPIAA NAKAJIMA RACINGは好調な走りを見せる。31号車ロイック・デュバルと32号車小暮卓史の両ドライバーは各セッションでベストラップを更新し合いながら3位以下を大きく引き離す。しかし、同日午後の走行で小暮は最終コーナーでマシンのコントロールを失いクラッシュしてしまう。マシンはすぐさまメカニックたちの手により懸命の作業が行なわれることとなった。さらに小暮自身もこのクラッシュの影響で手首を痛めてしまう。骨折まではいかないまでも、かなりの痛みがあり、パワーステアリングのついてないフォーミュラマシンを最後まで運転できるのか。中嶋監督を含めたスタッフ全員での話し合いがもたれた結果、どうしてもレースに出場したいという小暮の強い希望もあり、小暮の体調を優先にするという条件のもと翌日の予選に出走することを決めたのである。

抜けるような青空が広がる予選日。明け方まで続けられた修復活動により小暮のマシンは完璧な状態に戻されていた。マシンチェックのために予選セッションを時間いっぱい走りたい気持ちはあったが、小暮の体のことを第一に考え、チームは終盤15分間でのアタックにすべてを賭けた。背水の陣で臨んだワンアタック。小暮は今まで以上の渾身の走りを見せ見事トップタイムを叩き出す。小暮はそのままピットへマシンを戻し、他のマシンの様子を見守るが、その後も小暮のタイムの上をいくマシンは現れず、トップタイムのまま予選1回目を終えた。

続く2回目の予選。開始後10分経過時点でピットを離れた小暮は、そこでも自身が持つコースレコードを1秒以上も縮めるスーパーラップで他車を引き離し、今季2度目のポールポジションを獲得したのである。


誰一人諦めることなく、チーム一丸で勝利!

手首の痛みが解消されないまま迎えた決勝日。

夏の名残を窺わせる強い日差しが朝から照りつけ、気温・路面温度ともにぐんぐん上がっていく。

この日、痛みが一向に引かないため、ドーピングに該当しない痛み止めを服用し決勝に臨むことに。スタートをまずまず成功させた小暮は後続を引き離しにかかるが、中盤グループでアクシデントが起こったため、オープニングラップからセーフティカーが導入される。レース再開後ペースを上げて後ろを引き離そうとするも、後続マシンもそうはさせまいと小暮との距離を詰めてくる。一進一退の攻防を続けていると、レース終盤に再度多重アクシデントによりセーフティカーが導入される。残り周回数7周でレースが再開されるとそのまま逃げ切り、一度もトップの座を明け渡すことなくチェッカーを受けた。キャリア5年目にして初のポールトゥウィンであった。

二度のSCランにより痛めた手首を休めることができたのも勝利の大きな要因となったが、あの壮絶なクラッシュが起き、マシンは大破したうえ小暮が負傷するという絶望的な状況に陥っても誰一人諦めることなく掴み取ったポールトゥウィン。これも伝説の一戦だ。

中嶋悟コメント

ヒヤヒヤする場面は何度かありましたが、自分が壊したマシンを懸命に修復してくれたスタッフに対して「絶対に最速で優勝をする」という小暮の執念で何とかコースに踏みとどまり、ポールトゥウィンという最高のかたちをプレゼントしてくれました。
ドライバーズポイントでも2戦を残し、3位に食い込むことができ、このシーズンの大きなポイントとなるレースだった気がします。スタッフとドライバーの思いが1つになった貴重なレースで、みんなの喜びが爆発した1戦でした。



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